人類の活動にエネルギーは必要不可欠です。持続可能な社会を実現するためには再生可能エネルギーの普及が欠かせません。エネルギー資源の多様化に対応するためには新たなエネルギーシステムの開発が急務です。この研究部門では、データサイエンスと数理工学を応用しエネルギーシステム関するさまざまな課題の解決に取り組んでいます。
研究部門を設置した2021年4月から順次取り組む予定の課題です。
太陽光発電に代表される再生可能エネルギーは出力が一定しないデバイスも多く、システム全体の設計には蓄電池や燃料電池などとの組み合わせが重要になります。こうしたシステムを制御するための仕組みが、DERMS(Distributed Energy Resource Management Systems)です。本研究部門では、ABM(Agent-based modeling)や数理最適化の方法論を使ったシステム開発を目指しています。
路線バスや配達用のトラックなど、多数のEV(電気自動車)を1つの事業主体が運用する場合、充電スケジュールの最適化は大きな問題の1つになり得ます。また、問題無く運行できる充電スケジュールが充電コストの面からも最適とは限りません。こうした問題は多目的最適化の方法論を必要とします。差分進化(Differential evolution)などの進化的計算の応用分野としても面白いと思っています。
市場で取引される電力の価格は時として日常的な変動と大きく乖離した値になることがあります。これにはさまざまな要因があり、政治経済的な研究対象の1つとなっています。本研究部門では、データサイエンスの側面と政治経済的な視点を融合するために、ABM(Agent-based modeling)を利用した価格予測の可能性について研究しています。
バイオインフォマティクス分野でのおもな業績です。
すでに承認されている薬剤を、別の病気の治療薬へ転用する研究です。深層学習(Deep learning)の一種であるAutoencoderを使ったタンパク質相互作用ネットワークの埋め込みによって、アルツハイマー病の治療薬候補を複数同定しました。
Alzheimer's Research & Therapy volume 13, Article number: 92 (2021)複雑ネットワークにおいて、ノードの重要性を定量化する方法に中心性(Centrality)の指標があります。中心性にはさまざまなものが提案されており、そのうちの1つにBetweenness centralityがあります。Betweenness centralityを改良した中心性の指標を提案し、これをタンパク質相互作用ネットワークに適用するアルゴリズムを開発しました。ネットワークの選ばれたノードだけを使って中心性を計算することで、これまでの方法論では注目できなかった重要ノードを知ることができます。
BMC Systems Biology volume 6, Article number: 124 (2012)遺伝子発現データを使って大腸癌の抗がん剤治療の効果を予測する研究です。機械学習アルゴリズムの1つ、Random Forestsを使って効果を予測し、抗がん剤の奏功に寄与するいくつかの遺伝子を同定しました。
British Journal of Cancer volume 106, pages126–132 (2012)この社会連携研究部門はデジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現するアークエルテクノロジーズ株式会社の出資で運営されています。
この社会連携研究部門はゲノムサイエンス&メディシン分野の連携研究室です。
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